泌尿器科の全分野において専門的な診療を行っています

代表的な疾病

男性不妊症

厚生労働省が行なった第14回出生動向基本調査によると、夫婦の6組に1組は、不妊検査、治療を受けています。また、5組に1組は二人目の子供を持つための治療受けています。夫婦にとって不妊症は大変身近なことなのです。
不妊の原因のうち、約半数は男性側にあります(男性側のみ25%、男性女性の双方25%)。ご夫婦の検査、状況に応じて治療方法の相談が必要です。

男性側の不妊症の原因は、1造精機能障害、2精子輸送路の閉塞、3精子機能障害、4勃起障害・射精障害があります。男性側の治療を行なうことにより自然妊娠が望めるようになったり、あるいはご夫婦の不妊治療内容の軽減が可能になったりする場合があります。お気軽にご相談ください。

男性不妊症の診察
  • 生殖外来:予約制
  • 診察
    初診時には問診の後に生殖に関連する臓器の診察を行います。
    ご夫婦の状況やご希望をお聞きし、治療方針のご相談をいたします。
  • 血液検査
    ホルモン検査や一般的な血液検査を行ないます。
  • 精液検査
    診察後に精液検査の日程を決定します。原則として複数回の検査を行ないます。禁欲期間2-5日をもって行ないます(検査結果に影響します)。
  • 超音波検査
    精索静脈瘤の診断や精巣の評価を行ないます。
  • 染色体・遺伝子検査
    精巣での精子形成が高度に障害されていることが疑われる場合には、その原因を調べる目的や治療方針の決定のため検査を行ないます。
関連のある診療科、関連施設

不妊診療については、当院婦人科や、関連病院との連携をとりながら診療を行ないます。

  • 婦人科(不妊症外来)
    奥様の検査、治療、ご夫婦での人工受精、体外受精、顕微授精を行ないます。
    婦人科
  • 遺伝診療部
    体外受精、顕微授精などを考慮される場合などで、染色体検査の結果をふまえご希望があれば、遺伝専門の外来でのご相談ができます。
    遺伝診療部
  • 連携病院
    精巣内精子採取術、精子凍結保存は、当院では行なっていませんので、連携病院へご紹介いたします。
    筑波学園病院 泌尿器科
    国際医療福祉大学病院(栃木県那須塩原)男性リプロダクション
主な病態と治療法

造精機能障害

  • 精索静脈瘤
  • 精索静脈瘤とはなんですか?
    精巣および、精巣上体から血液が心臓に戻る静脈にうっ血、逆流が生じ、静脈が拡張した状態を言います。一般には左側に多く生じますが、両側に認める方もいます。
  • 精索静脈瘤は、どうして男性不妊の原因になるのですか?
    精索静脈瘤があると、精巣内の酸素濃度低下、陰嚢内温度の上昇、および内分泌物質の逆流などが生じます。精巣内での造精機能の低下や、精子DNAの損傷を招くことが知られています。
  • どういう治療法がありますか?
    治療では、静脈を結紮・切断する手術を行ないます。手術治療を受けられた約6割の男性で、精液所見の改善がみられます。治療効果は早ければ3ヶ月から認めますが、1年程度してから回復することもあります。
    精索静脈瘤の程度、夫婦の年齢、その他の治療状況を踏まえ手術治療の適応について相談します。
  • 当院で行なう精索静脈瘤の手術方法をご説明します。
    全身麻酔でおこないます。創も小さいため手術翌日に退院になります。
  • 1)腹腔鏡下高位結紮術
    両側性の精索静脈瘤の治療の場合に良い適応と判断しています。お臍とおなかにあわせて3カ所の穴を開けて、カメラと手術操作を行なう鉗子を挿入して、おなかの中から静脈処理を行ないます。手術時間2-3時間。
  • 2)顕微鏡下低位結紮術
    両側性の精索静脈瘤の治療の場合に良い適応と判断しています。お臍とおなかにあわせて3カ所の穴を開けて、カメラと手術操作を行なう鉗子を挿入して、おなかの中から静脈処理を行ないます。手術時間2-3時間。
  • クラインフェルター症候群
  • どうして男性不妊症になるのですか?
    身体的な特徴は、高身長で手足が長く、小さい精巣、女性化乳房がみられます。精巣内での精子形成がほとんどみられません。いわゆる非閉塞性無精子症を呈します。染色体検査をすると多くの場合46XXYを示します。
  • 不妊治療の方法はあるのでしょうか?
    精巣内から精子を回収できれば、それを用いた顕微授精治療へつなげることができます。 顕微鏡下精巣精子採取術(MD-TESE)で、顕微鏡で精巣内を観察し、丈夫な精細管があれば採取します。精子が回収できれば凍結保存を行ないます。
  • 低ゴナドトロピン性男子性腺機能不全
  • どうして男性不妊症になるのですか?
    精巣での精子形成と男性ホルモン分泌の調節を行なうために必要なホルモンが、脳下垂体から分泌されません。精巣の発育不全、造精機能障害を来します。代表的なのは嗅覚異常を伴うKallmann症候群が知られ、男性の1万人に一人の割合で認められます。
  • どのような治療法があるのですか?
    精巣の発育と精子形成を促すために、ホルモン剤治療を行ないます。低ゴナドトロピン性男子性腺機能不全と診断された場合は、公費負担制度を利用することができます。
    MHH JAPAN
  • 悪性腫瘍
  • どうして男性不妊症になるのですか?
    抗がん剤治療や放射線治療は精巣での精子形成を傷害します。抗がん剤の種類や治療期間、放射線治療の程度によっては、恒久的に精子ができなくなります。また、精巣腫瘍を患う男性では、造精機能がもともと低下していることもあります。
  • 挙児を考えてるのですが、癌の治療前に何かすべきでしょうか?
    がんの治療開始前に精子凍結保存をおこないます。
    治療開始した後では精子が造られなくなります。必ず、悪性腫瘍治療が開始になる前に悪性腫瘍治療を担当する主治医に相談することが必要です。
  • 脊髄損傷
  • どうして男性不妊症になるのですか?
    原因ははっきりしません。一説には神経障害に関連した精巣への血流障害や精巣自体への神経障害が言われています。脊髄損傷を発症してからの年数が経過するほど、精液所見も悪化する傾向があります。
    射精障害や逆行性射精の原因になることもあります。
  • 脊髄損傷になりましたが、何かしておくべきでしょうか?
    将来、挙児を希望される場合は、検査を受けることで、現在の精液状態を確認ができます。必要に応じて精液凍結保存を行ない、将来の顕微授精治療につなげることができます。なお、射精ができない場合は、精巣内精子採取術を行ない精子の有無の確認や精子の回収を試みます。

精子輸送路の閉塞

  • 精管閉塞、精管欠損
  • どうして男性不妊症になるのですか?
    精巣で造られた精子は、精巣上体管、精管を経由して輸送されます。両側の精路に閉塞をきたしたり、精管の未形成があったりする場合は、精巣内で精子が造られていても、射出される精液中に精子がありません。閉塞性無精子症とよばれる状態になります。
  • 精管閉塞、精管欠損症の原因は何ですか?
  • 1)先天性要因
    先天性精管欠損症は、生まれつき精管が形成されません。
  • 2)後天性要因
    炎症(精巣上体炎や前立腺炎)
    精子の通り道に炎症性の閉塞を引き起こします。
  • 鼡径ヘルニア手術
    鼠径部は精管の通路にあたるので精管が手術の影響を受けてしまうことがあります。 治療は精管-精管吻合術を試みることがありますが、手術中の所見で精管の萎縮程度や狭窄部位によって再建術を断念することもあります。その場合は、精巣内精子回収術を行ない、人工授精に備えます。
  • 精管結紮術後
    避妊手術後に挙児希望がある場合です。
  • どのような治療がありますか?
  • 1)精路再建術
    閉塞部位によっては、顕微鏡を用いた精路再建術を行うことができる場合があります。
  • 2)前立腺射精管開放術
    閉塞部位が、前立腺部尿道の射精管であれば、経尿道的な手術で閉塞部の開放を行います。
  • 3)精巣内精子採取術
    精巣内でつくられている精子の採取を行ない、精子凍結保存を行ないます。後日、顕微受精に精子を使用します。
    精路再建術は希望しないが挙児を望む場合や、精路再建術の際に同時に行なうことがあります。

精子機能障害

  • 炎症
    前立腺炎、精巣上体炎があると、精子自体に障害が起こり、運動率の低下などが起こります。診察、尿検査や精液検査で炎症がないか診断します。治療には抗生剤投与を行ないます。
  • 免疫学的障害
    精巣-血液関門とよばれ、精巣内部は隔離状態にあります。この関門が炎症や外傷などの理由で破壊され、精子に対する自己免疫反応が引き起こされることがあります。
    診断自体がむずかしく、また特別な治療法はありません。 

勃起障害・射精障害

  • 勃起障害
    高血圧、糖尿病、うつ病などもあります。夫婦でのセックスレスなどの心因的な要素のこともあります。
    原因となる持病がある場合には、その治療を行なうことで勃起障害が改善することもあります。当院の男性機能外来での相談をご利用ください。
    なお、夫婦間でのセックスがうまくゆかない場合には、日本性科学会のカウンセリングもご検討いただけます。
    日本性科学会
  • 逆行性射精
  • 逆行性射精とはなんですか?
    射精した精液は前立腺から尿道を通り、射精されます。尿道から膀胱側へ精液が射出されてしまう状態を逆行性射精といいます。糖尿病や手術の影響で末梢神経障害、下腹神経障害をきたすと起こりえます。原因となる手術の例としては、精巣腫瘍の後腹膜リンパ節郭清や、椎間板ヘルニア、潰瘍性大腸炎などがあります。脊椎損傷でも同様の病態を起こす場合があります。
    マスターベーション後の膀胱内精子の存在を確認できれば、診断にいたります。
  • どういう治療方法がありますか。
    糖尿病などの神経障害が原因である場合は、内服治療薬で通常の射精が期待できる場合があります。なお、手術による神経障害では内服治療による効果が期待できません。
    膀胱内精子を回収することで、体外受精などの不妊治療へつなげることができる場合があります。

患者の皆様

医療従事者の皆様

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