神経因性膀胱

神経因性膀胱 Q&A

排尿障害

 神経因性膀胱とは何ですか?
神経因性膀胱とは神経の病気によって膀胱や尿道の機能に変調を来している状態です。

 膀胱や尿道の働きはどのように調節されているのでしょうか?
膀胱と尿道は、尿を漏れないようにためたり、尿を勢い良く残りが無いように出したりする機能を担っています。尿をためる時には膀胱は緩み尿道は閉まっています。尿を出す時には膀胱が収縮し尿道は緩んでいます。

この働きは大脳や脊髄、さらには脊髄と膀胱・尿道との間の情報交換を果たす末梢神経によって調節されています。

 神経因性膀胱を来す神経の病気にはどのようなものがありますか?
神経の病気であれば殆どの病気が原因となりますが、代表的なものとしては、脳卒中、パーキンソン病、脊髄損傷、頸椎症性脊髄症、脊髄血管疾患、腰部脊柱管狭窄症、骨盤内悪性腫瘍に対する根治手術、糖尿病、二分脊椎等の病気があげられます。

前立腺肥大症

 前立腺肥大症とは何ですか?
前立腺は、膀胱の出口で尿道を取り囲むようにあり、通常はくるみ大ほどの大きさです。しかし、加齢とともに大きくなると、尿がでにくい、回数が多い、残った感じがするなどの症状を伴うようになります。これが前立腺肥大症と呼ばれています。厳密には、「前立腺の良性過形成による下部尿路機能障害を呈する疾患で、通常は前立腺腫大と膀胱出口部閉塞を示唆する下部尿路症状を伴う」とされています。

 前立腺肥大症にはどのような検査を行うのですか?
症状や病歴の採取とともに、国際前立腺症状スコアなどの質問票の記載をしていただきます。尿検査、尿流測定(尿の勢いを測定する検査)、残尿測定を行い排尿状態の評価をします。直腸診、超音波検査で、前立腺の大きさ、膀胱・腎の形態などを評価します。前立腺癌腫瘍マーカー(PSA)測定、排尿日誌、膀胱内圧測定検査、膀胱鏡などを行うこともあります。

 前立腺肥大症にはどのような治療を行うのですか?
夜間頻尿や肥満がある場合は、飲水量の確認、体重の減少などの生活指導を行いますが、内服薬による治療が主体となります。前立腺の緊張を緩める薬、血流を良くする薬、前立腺を小さくする薬、炎症を抑える薬などを使用します。内服によっても、効果が乏しい場合は手術を行います。当院では主に経尿道的レーザー前立腺切除術(HoLEP)を行っています。

 経尿道的レーザー前立腺切除術(HoLEP)はどのような手術ですか?
尿道から内視鏡(カメラ)をいれて、前立腺を観察しながら肥大した部分をレーザーでくりぬきます。前立腺外側の被膜は残します(みかんの皮だけを残して実だけくりぬくイメージです。下図)。くり抜かれた前立腺はいったん膀胱の中に落とし、後で専用の道具でこまかく切って吸い出します。手術時間は、大きさによって異なりますが、1.5~3時間です。腰椎麻酔もしくは全身麻酔で行います。入院期間はおおよそ5日ほどです。従来のTUR-P(経尿道的前立腺切除術)より、出血量は少なく、ソフトボールのように大きくなった前立腺にも行えます。詳しくは担当医にお尋ねください。

(Boston Scientific corporation ホームページより引用)

過活動膀胱

 過活動膀胱とは何ですか? 
急におしっこがしたくなり、尿の回数が多くなり、我慢できなくてもれてしまったりする状態です。厳密には、「尿意切迫感を必須とした症状症候群であり,通常は頻尿と夜間頻尿を伴い,切迫性尿失禁は必須ではない。また,その診断のためには局所的な病態を除外する必要がある」とされています。

 過活動膀胱にはどのような検査を行うのですか?
症状や病歴の採取とともに、過活動膀胱症状スコアなどの質問票を記載していただきます。尿検査、残尿測定を行い血尿や膿尿の有無、排尿状態を評価します。内診や直腸診、超音波検査で、骨盤性器脱の有無、膀胱・腎の形態などを評価します。尿流測定(尿の勢いを測定する検査)、排尿日誌、膀胱内圧測定検査、膀胱鏡などを行うこともあります。

 過活動膀胱にはどのような治療を行うのですか?
肥満,運動,喫煙,食事,飲水,炭酸飲料摂取,便秘などに対する生活習慣の改善、骨盤底筋体操、膀胱訓練などの行動療法を行います。急な尿意を抑え、膀胱に多く尿を貯めることができるようにする薬を使用します。男性で前立腺肥大症のある方は、その治療を行います。内服によっても効果が得られない場合は、当院では膀胱低周波治療を行っています。また、ボツリヌス毒素膀胱内注入療法を開始します。

 ボツリヌス毒素膀胱内注入療法はどのような手術ですか?
尿道から内視鏡(カメラ)をいれて、膀胱を観察しながら、膀胱の粘膜にボツリヌス毒素を細い針で注入していきます(下図)。外来で行い、手術時間は20分程度です。ボツリヌス毒素は、膀胱を収縮させ、急な尿意を引きおこすアセチルコリンという物質の神経からの放出を阻害します。副作用で尿が出にくくなることがあり、導尿が必要となる場合があります。詳しくは担当医にお尋ねください。

(GSKボトックス注用インタビューフォームより)

 
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