精巣腫瘍
精巣腫瘍を心配されている患者さん、治療を希望される患者さんへ
精巣腫瘍は進行が早く、早期発見・早期治療が肝要です。少しでも“おかしいな”と思ったらできるだけ早く近くの泌尿器科を受診して下さい。
大きな病院にいくよう指示され受診先に悩んでいるまたは当院への受診を勧められたならば当院へご連絡ください。
(筑波大学病院 患者さん専用回線029-853-7668)
当院への紹介を検討いただいている医療機関の方は当院のHPを参照の上(http://www.hosp.tsukuba.ac.jp/medical/) 患者様をご紹介ください。
連絡先は筑波大学付属病院 医療機関専用回線(FAX 029-853-3712 TEL 029-853-3727)です。
ご相談いただきましたら病院担当者より治療担当者に連絡が入るようになっております。病院担当者と治療担当者とが相談の上、当院への受診時期について連絡させていただきます。病状に応じて受診日を決定し連絡いたします。
精巣腫瘍(癌)とは?
精巣には種々の良性及び悪性腫瘍が発生しますが、大部分が精子を作る精母細胞から発生する悪性腫瘍(胚細胞腫)であるため精巣癌(古くは睾丸腫瘍または癌)とも総称します。主に20~40歳代の男性に発生する悪性腫瘍で、年間発病率は約10万人に1人とされる稀な疾患です。
精巣腫瘍では次の2点が重要です。
・リンパ節や肺、その他の臓器に転移していても抗がん剤を使った化学療法と手術を適切に組み合わせることにより約9割の患者さんで治癒が可能です。
・比較的、稀な疾患であるため特に転移.進行例では本疾患の治療経験が多い医療施設での治療が望ましいとされています。
精巣腫瘍の症状
多くは精巣(睾丸)局所の腫れで気付かれます(「タマ」が腫れた状態)。あまり痛くないのが特徴ですが、痛みや違和感を伴うこともあります。「タマ」が腫れる疾患としては痛みのない「陰嚢水腫」や痛みや熱を伴う「精巣上体炎」などの良性疾患の方がより一般的です。ただ、自覚症状だけでは区別が難しく精巣に上記の異常を感じた場合は泌尿器科専門医を受診することをお勧めします。
・精巣腫瘍は転移していても治癒可能ですが、転移しない状態(病期1)で治療を開始すればより負担が少なく、より高率に治癒が可能ですので早期受診が重要です。
精巣腫瘍の治療
セミノーマとセミノーマ以外(非セミノーマ)で治療が異なります。転移していない状態(病期1)の場合、手術(高位精巣摘除術)のみで経過観察する方法や再発予防を目的とした治療(セミノーマでは放射線治療、非セミノーマでは化学療法)を行う場合もあります。転移例ではセミノーマの一部では放射線照射を行います。
しかし精巣腫瘍の転移例多くの場合(セミノーマ 、非セミノーマとも)、化学療法を主体とした治療が必要になります。転移例は国際分類法(IGCCC)により予後良好群、中間群、不良群の3群に分類され、治療の強度や治療の見込みなどが異なります。
・転移例ではIGCCCに応じて、化学療法(及び手術)を行うことが重要です。
筑波大学付属病院における精巣腫瘍治療の特徴
開設以来の症例数は転移例だけでも当科単独で約130例あり、日本有数の治療経験を有しております。
最近では、地域がん診療拠点病院をはじめとする基幹関連4施設との連携による診療体制を強化し、10年間の集計で5施設全体で88人(うち筑波大学では59人)の転移期精巣腫瘍の患者さんを治療しています。これらの患者さんの5年生存率は94%と高い実績を挙げています。なかでも筑波大学附属病院は集学的治療が必要な患者さんへの診療体制を強化した中核施設として機能しています。治療を行った後の腎機能をはじめとする長期健康管理も積極的に行っています。また治癒後に挙児を希望する患者さんでは、当院の生殖医療グループや関連施設との連携のもと、精子の凍結保存も積極的に行っています。
・筑波大学附属病院は転移期精巣腫瘍の中核治療施設です。