筑波大学腎泌尿器外科診療グループ
腎がんは、尿を作っている腎臓にできる悪性腫瘍で、中高年の男性に多く、発がんの危険因子として肥満、高血圧、喫煙などが知られております。また、透析を受けている方では、腎がんの罹患率が高いといわれております。 腎がんに特徴的な症状としては、尿に血が混ざる、腹部のしこり、わき腹の痛みがあります。最近では症状がなく、検診などの超音波検査やCT検査で偶然みつかる場合も多いです。健康診断による発見率は0.1%で、尿検査は発見にあまり役に立たないとされおります。
腎がんは、抗がん剤や放射線治療に抵抗性であるため、可能なかぎり手術で摘出することがすすめられています。腎臓内にがんがとどまっている限局がんと転移などのある進行がんでは治療方法が大きく異なります。
がんの状況(大きさ、位置、広がりなど)に応じて、がんとともに腎臓すべてを切除する場合(=根治的腎摘除術)やがんを部分的に切除して腎臓を温存する場合(=腎部分切除術)があります。開腹手術だけではなく、腹腔鏡手術(根治的腎摘除術)やロボット手術(腎部分切除術)も行っております。
手術で完全に切除ができない場合は薬物療法を中心に行います。腎がんでは抗がん剤の効果はほとんど期待できません。そこで、分子標的薬(がんの増殖や血流を抑える薬)や免疫チェックポイント阻害剤(がん免疫を高める薬)で治療を行います。